
にんじんの飾り切りが、記憶の奥にしまっていた母の姿を呼び起こす──
『住みにごり』第72話「人参」では、息子・末吉と母・百子が“すき焼き”を囲みながら、過去と現在、親と子の立場を静かに反転させていきます。
笑いの中に切なさがあり、あたたかな団らんの中に、ふと訪れる「誰ですか?」の一言。
この一話には、“思い出”と“老い”が、食卓という日常の中で交錯する様子が、繊細に描かれています。
物語の本題に入る前に、前回の流れをふり返る
→『住みにごり』第71話「踊場」ネタバレ考察|新沼達郎とフミヤが出会った“5/4の意味”とは?
※今回の第8巻では、より深く考察や感想を伝えたいと思い、各話ごとにネタバレ記事を分けて投稿するスタイルにしています。
最後には「8巻まとめ記事」も公開予定ですので、通し読みしたい方はそちらもぜひ。
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住みにごり第71話「人参」ネタバレ考察
ある日の夕方、末吉は母・百子のためにすき焼きを用意する。
すき焼きと聞いて、テンションが上がる百子だったが、実はその鍋の正体は、すき焼きに見せかけた“肉じゃが”だった。
ふと目にした「うさぎ型のにんじん」に、表情を曇らせる。
実は彼女は、昔からにんじんが嫌いだったのだ。
そんな百子に、末吉はかつて彼女が自分にやっていたように言う。
「はい、うさぎちゃん、あーん」
末吉は「今度は自分の番だ」とばかりに、笑いながら差し出す。
──そう、それは末吉の幼少期。
にんじんが食べられなかった彼に、母・百子がにんじんを飾り切りにして「うさぎちゃん」と呼び、優しく食べさせてくれていた、あの記憶の再現だった。
百子の夢の中で、末吉は幼少期の姿となっていた。
暗闇の中、遠くに立つ子どもの末吉。
助けたいのに、大きな穴があって渡れない。
飛び越えようとして落ちたその先で、大人になった末吉が、幼い自分をしっかりと抱きしめる──そんな夢だった。
そして、穏やかな時間のなか、突然、百子が口を開く。
「あなた、どちらさんですか?」
ついさっきまで笑い合っていたはずの母が、息子の末吉を“見知らぬ人”として見つめている──
その一言が、時間の流れと記憶の断絶を、静かに突きつけてくる。
考察|タイトルの“にんじん”が意味するもの
一見するとただの「にんじん嫌い克服エピソード」に見える今話ですが、
じつはこの“にんじん”には、深くてやさしい家族の記憶が詰まっています。
子どもの頃、にんじんが苦手だった末吉に、母・百子は「うさぎちゃん、あーん」と言って人参を差し出しました。
それは、食べさせるための工夫であると同時に、母自身も実はにんじんが苦手だったという“隠れた共感”が込められた行為でした。
──「自分は苦手だけど、あなたには食べてほしい」。
それは、言葉にしないまま届けられる、わかりにくくも深い愛情。
そして今、大人になった末吉が、同じように母に「うさぎちゃん、あーん」と差し出す場面は、ただの“再現”ではありません。
それは、かつて母からもらった記憶をなぞり、今度は自分の手で返していくという“愛の循環”の行為なのです。
にんじんは、そんな「見ることの難しい愛情」を象徴する存在でした。
ほんの少しの苦味と、一口ごとに染みるぬくもり──
それは、食卓を通して受け継がれていく、家族という形のない記憶そのものだったのかもしれません。
母・百子の“異変”が語る、喪失の予兆
ラストの「あなた、どちらさんですか?」というひとこと。
それは明確な“認知症”として描かれてはいないけれど、確かに記憶の糸がぷつんと切れたような感触が残ります。
さっきまで会話していた相手が、突然「他人」になってしまう。
そのショックは、言葉にできないほど静かで、深い。
末吉は笑うことも、怒ることもせず、ただ小さく反応するだけ。
それがむしろ、すべてを物語っているように思えました。
感想:記憶は薄れても、「思い出」は生き続ける
『住みにごり』はいつも、ふとした瞬間に胸の奥をやさしく撫でるような物語を届けてくれます。
この第72話「人参」は、まさにその真骨頂でした。
誰にでもある「嫌いなもの」。
それを前にした小さな葛藤も、ほんとうは誰かの愛によって、そっと包まれていたのかもしれません。
かつて自分がしてもらったことを、今度は自分の手で返す。
それは、ただの“恩返し”じゃない。
たしかにそこにあった、かけがえのない記憶を、もう一度なぞって差し出すという、“愛の往復”だったのだと思います。
だからこそ、「うさぎちゃん、あーん」という言葉には、笑ってしまうほどのあたたかさと、
涙が出そうになるほどの切なさが同時に詰まっているのです。
ラストのひとこと──「あなた、どちらさんですか?」
それはすべてを失ったように思えるかもしれません。
でも、たとえ名前も関係も忘れてしまっても、あのとき交わした「あーん」の記憶は、
きっとどこかに、やわらかく残っていると信じたくなります。
百子の笑顔も、末吉のやさしさも。
すべてが“思い出”という名の温度になって、読む人の心に、そっと灯り続ける──
そんな一話だったように思います。
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