「僕は、ヒカルと一緒にいたいだけなんだ」
洞窟の奥に開いた「穴」、そこから溢れ出すケガレ、そして“ナニカ”の正体──
『光が死んだ夏』第7巻では、これまで静かに積み重ねられてきた伏線が、一気に回収されていきます。
よしきとヒカルの決意、田中と朝子の覚悟、それぞれが“穴”に向き合うことで、世界は少しだけ変わり始めました。
ただのホラー漫画じゃない。
不気味さの向こう側に、切なさと人間の“奥底”が描かれる今巻は、読む人の胸に深く残るはずです。
この記事では、第7巻のあらすじから結末、そして「ナニカの正体」や巻末の意味深なエピソードまで、まるごと丁寧に解説します。
記事でわかること
- 『光が死んだ夏』第7巻のネタバレと結末
- よしき＆ヒカル、田中＆朝子が封じた二つの穴の全貌
- ヒカル＝ナニカの正体を考察
- カモシカ様と、田中が差し出した“代償”
- 巻末短編に込められた伏線と次巻への布石
- 『光が死んだ夏』をお得に読む方法
ポチップ
【ネタバレあり】『光が死んだ夏』第7巻のあらすじ
『光が死んだ夏』第7巻では、「あの世」と繋がる“穴”をめぐり、物語が大きく動き出します。
舞台は、深い森の奥にぽっかりと口を開けた「穴」。
そこには、異形の足を持つ“ケガレ”が増殖し、世界を侵食しようとしています。
よしきとヒカル──「一緒にいたい」想いと、別れの覚悟
よしきとヒカル（ナニカ）は、洞窟に現れた“穴”を封じるために協力します。
ヒカルは自ら「向こう側」に入る覚悟を決め、ナニカとしての役割を果たすことに。
よしきはヒカルの手を必死に引き留めようとしますが、
「僕は大丈夫。よしきが見ててくれるなら」
というヒカルの言葉に背中を押され、涙をこらえて見送ります。
“カモシカ様”と呼ばれる異形の存在の助けを得て、ヒカルは穴の内部から封印を開始。
穴の奥に光が吸い込まれていくようにして、ついに1つ目の穴は閉じられました。
朝子と田中──対話と代償、もう一つの穴
一方、別の場所でもう1つの「穴」を発見していた朝子と田中。
こちらでは、物理的な封印ではなく、“ケガレ”と対話するという方法を選びます。
朝子は、恐怖と迷いを抑え込みながらも、「このままじゃダメだ」と覚悟を決め、
田中と共にケガレに「命の代わりに何を差し出すか」と問いかけられます。
田中が差し出したのは、“自らの腕”。
その瞬間、ケガレは静かに満足したかのように引き下がり、二つ目の穴も閉じられていきます。
朝子は田中の覚悟に驚きつつも、その行動に救われたと実感し、
ふたりの関係性にも少しだけ温かさが灯るのです。
よしきとヒカル。
田中と朝子。
それぞれが自分の恐怖や弱さと向き合い、「覚悟」を持って穴に挑んだ第7巻。
けれど、すべてが終わったわけではありません──
この先に待ち受けるのは、“封じたはずのその先”にあるものたちなのかもしれません。
登場人物たちの「覚悟と代償」
第7巻では、“穴”をめぐって多くの登場人物が「自分の意思で選ぶ」瞬間に直面します。
そこに描かれるのは、単なるホラーやサバイバルではなく、人間の根っこの感情──怖さ、迷い、執着、そして希望です。
よしき｜“ヒカルを信じる”という痛みを選んだ少年
よしきは、ヒカルが「ナニカ」であると知ったうえで、それでも一緒にいたいと願い続けます。
けれど、ヒカルが穴を封じるために“向こう側”に入るという決意をしたとき──
「行かないで」と引き止めるのではなく、「お前の選んだ道なら、見届ける」と背中を押したのです。
それは、ヒカルを手放す覚悟であり、信じるという愛の証でもありました。
ヒカル（ナニカ）｜自分を“ナニカ”として受け入れた存在
ヒカルはもう、「光」ではない。
よしきも、ヒカル自身もそれを認め始めています。
それでもヒカルは、自分が「誰かにとって意味ある存在になりたい」と願い、
ナニカとして、よしきのために“穴”を封じるという道を選びます。
その姿には、かつて人間だった頃の光の「想い」が、確かに残っているように感じられます。
田中｜腕を差し出す覚悟が示したもの
第7巻で最も衝撃的な代償を払ったのが、田中です。
彼は“ケガレ”に対し、自らの腕を差し出すことで交渉を成立させ、穴の封印を成功させます。
これは、彼の中にあった「贖罪」や「責任感」が極限まで高まった結果とも言えるでしょう。
ただの脇役だった彼が、命を張る側に立つ展開は、物語に大きな厚みをもたらしました。
朝子｜恐れを超えて「対話する力」を持った少女
朝子は、これまでの巻ではどこか突っ張って見える少女でした。
しかしこの7巻では、目の前の異形の存在に対しても、怯えながらも目を逸らさず「話そう」とする姿勢を見せます。
田中を信じ、共に行動する姿は、彼女がただの強がりな少女ではなく、誰かのために踏み出せる人間へと成長していることを示しています。
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こうして見ると、第7巻は“封印の巻”であると同時に、登場人物それぞれの「心の成熟」が描かれた巻でもあるのです。
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読んでくださる皆さま、いつも本当にありがとうございます。
7巻の伏線と「ナニカ」の正体を考察
『光が死んだ夏』の根幹を揺るがす存在──それが「ヒカル＝ナニカ」です。
第7巻では、彼の正体に迫る重要なヒントがいくつも提示されました。
ヒカルは「光」じゃない。それでも、光だった。
まず明確になったのは、ヒカルの中にいるのは“本物の光”ではないという事実。
ナニカ──つまり、光の“抜け殻”に入り込んだ異形の存在が、光の記憶や行動をなぞっているに過ぎない、という考察が強まります。
にもかかわらず、ナニカのヒカルは「よしきのことを思い、守ろうとする」。
この感情がどこから来たのか？
ヒントは、ヒカルのセリフの中にあります。
「僕が見てるから、怖くないよ。よしきがいたから、僕はここにいるんだ。」
この“感情”は、単なる模倣では説明がつかない。
つまり──ナニカは“感情”を持ちはじめているのです。
ナニカの変質＝人間化の始まり？
ナニカが感情を持ち始めた背景には、“よしきとの関係”があります。
彼と過ごした日々、笑ったり、触れたりしたこと。
それらが、ナニカという存在の中に「なかったはずのもの」を芽吹かせている。
まるで、人間のように。
これは、人外の存在が「心」を持ち始めるという、作品全体を覆う大きなテーマの核心に触れる部分です。
ケガレと“ノウヌキ様”の関係性
一部では、「ヒカル＝ノウヌキ様」という説もささやかれています。
ノウヌキ様とは、死んだ人の体に入って“成り代わる”存在。
第6〜7巻では、それらしい描写が随所にありました。
もし本当にヒカルの中身がノウヌキ様だったとしたら、
彼の“人間化”は、「異形が人に近づこうとする」悲しい進化とも言えるでしょう。
穴の封印＝「あの世」との接続遮断？
今回、二つの“穴”が封印されました。
この“穴”は、単なる物理的な穴ではなく、「あの世」と繋がるゲートのような役割を持っています。
つまり、
ヒカル＝ナニカがこの穴に引き込まれることで、“あの世”に戻ったとも、完全に閉じ込められたとも解釈できます。
そして最後のページ──
どこかで別の“気配”が蠢いている描写があり、全てが終わったわけではないことも仄めかされています。
第7巻で得た確信と、それでも残る謎。
ナニカとは何なのか。
心は、どこから生まれるのか。
この問いが、次の巻でさらに深く描かれていくことになるでしょう。
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巻末に込められた伏線
『光が死んだ夏』第7巻の巻末には、短くも印象的な描き下ろしのエピソードが収録されています。
それは、物語の本筋とは少し離れた「静かな時間」の中で綴られた、田中と朝子のやりとりです。
「ねずみ」の話が語るもの
舞台は、穴の封印を終えた後のある日。
田中と朝子は、ふとした拍子に「ねずみ」について語り始めます。
朝子は言います。
「ねずみって、どこにでもいるけど、見えないところで静かに生きてるよね」
その言葉に田中は、何かを飲み込むようにしてうなずきます。
読者はここで、“ねずみ＝ケガレ”というメタファーを想起せずにはいられません。
「見えないもの」の怖さ、そして優しさ
このやりとりが伝えてくるのは、
ただ「異形＝怖い」ではなく、
人間の見えない感情や想念こそが、ケガレのように世界に影響しているという深い示唆です。
田中は、失った腕の重みとともに、
「人に見えないところで何かを背負うこと」の意味を噛みしめているようにも見えます。
物語の“余白”としての巻末
本編では語りきれなかった感情の余韻や、
キャラクターたちの“その後”の時間を感じさせてくれるこの巻末エピソード。
派手な展開ではないけれど、
「この世界が続いている」という実感を読者に届ける、静かな贈り物のような章です。
読後の感想
第7巻を読み終えたあと、胸の奥に残ったのは「怖さ」よりも、「切なさ」でした。
田中が腕を差し出す場面──“覚悟”が一瞬で伝わった
私にとって最も衝撃的だったのは、やはり田中が自らの腕を差し出すシーンです。
彼はこれまで、どこか他人事のように事件を見ていた印象がありました。
けれど、あの一瞬で態度が一変します。
自分が生き残るためじゃない、誰かの未来のために“引き換えにする”行動だったからこそ、胸を打たれたのだと思います。
朝子の目の前で、ためらわずに腕を差し出す──
その潔さに、私は人間の「強さ」を見ました。
ヒカルが“ナニカ”として選んだ別れ
もうひとつ忘れられないのが、ヒカルが穴の奥へ消えていく場面です。
よしきが引き止めようとする姿、
でも「僕が見ててくれるなら大丈夫」と微笑むヒカル。
ヒカルの中にある感情は、本物だったのでしょうか？
それともナニカが「光」の真似をしていただけだったのでしょうか？
その“あいまいさ”こそが、この作品の魅力のひとつだと感じています。
「青春ホラー」の枠を超えて
『光が死んだ夏』は、単なるホラー作品ではありません。
死や異形の存在と向き合いながら、
「人を想う気持ち」や「選択の責任」という深いテーマに静かに切り込んでいく物語です。
7巻はその核心にいよいよ触れ始めた巻であり、読者一人ひとりの心に問いを残してくれる巻だと思います。
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