
善意で踏み込んだその一歩が、人を壊してしまうことがある。
第69話「大人」は、“支援”という名の暴力と、それに気づいた若者の苦悩を描いた物語です。
引き出し屋の新人・野上は、正しいことをしたつもりだった。
でも、その行動が引きこもりの少女をより深く傷つけ、家族の関係を完全に壊してしまいます。
正義の名のもとに暴走してしまった自分。
その先で出会ったのが、新沼ひなぎという“ほんとうの大人”でした。
名刺一枚に託された、小さな救いの光。
本記事では、そんな第69話のネタバレと考察を通して、「大人とは何か」を静かに掘り下げていきます。
物語の本題に入る前に、前回の流れをふり返る
→『住みにごり』第68話「小指」ネタバレ考察|兄フミヤの“封印された過去”と野上の“正義”
※今回の第8巻では、より深く考察や感想を伝えたいと思い、各話ごとにネタバレ記事を分けて投稿するスタイルにしています。
最後には「8巻まとめ記事」も公開予定ですので、通し読みしたい方はそちらもぜひ。
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『住みにごり』第69話「大人」ネタバレ考察
正しさの名を借りた「支援」がもたらすもの
『住みにごり』第69話「大人」──
それは、「正しさ」の名のもとに起きた暴走と、その先にある“ほんとうの大人”を描いた、心に突き刺さる一話でした。
物語の中心にいるのは、新人の引き出し屋・野上。
彼は“引きこもりを社会復帰させる”という理念のもとで動いていますが、その行動は善意という名の暴力に変わってしまいます。
娘を“更生させた”と信じて、彼女を実家に「お返し」した野上。
しかし迎えた母親は、冷たく娘を拒絶するような表情。
その光景を目にして、娘は深く傷つき、野上もまた絶望に打ちのめされます。
──正しさとは、誰のためのものだったのか。
支援の名を借りた“支配”という現実
野上は、会社の寮に戻るなり、上司からバスタブで頭を押さえつけられながら叱責されます。
「なんで勝手なことをしたんだ」
「研修所に連れ戻せ」
まるで“所有物を取り戻すかのように”。
このシーンがあまりにも痛ましいのは、
それが“更生”ではなく、“支配”だったことがあからさまに描かれているからです。
そんな中、野上が口にする言葉。
「壊れかけていた親子関係に、俺たちがとどめを刺したんです」
「暴力は、誰も救わない」
まっすぐで、強い。
でも、どこか幼さすら感じる痛切な叫びです。
善意の仮面をかぶった「暴力的な支援」──
野上はそこに気づいてしまったがゆえに、組織の中で孤立していきます。
新沼ひなぎという“ほんとうの大人”
そして物語の終盤に登場するのが、新沼ひなぎ。
彼女は「一般社団法人 引きこもり交流会 木陰」に所属する人物であり、
野上に名刺を渡しながら、こう告げます。
「この世界には、お母さん以外にも“大人”がいるんだよ」
──この言葉が、物語のすべてを癒すように響きます。
考察:「大人」とは何か?
この話のタイトルは「大人」。
これは「年齢の話」ではなく、「在り方の話」だと思うんです。
ここで描かれる“大人”とは何か?
それは、
「正しさを振りかざすのではなく、相手の痛みに寄り添える人」。
「言葉ではなく、姿勢で信頼される存在」。
「誰かを“導く”のではなく、“共に在る”ことを選べる人」。
野上はまだ“子ども”だった。
でも、自分の正義が誰かを深く傷つけたと知ったその瞬間、
彼は少しだけ“ほんとうの大人”に近づいたのかもしれません。
木陰の支援と“待つ”という選択肢
新沼という存在は、“もうひとつの支援のかたち”を象徴しているように見えます。
押しつけるのではなく、
引き出すのではなく、
「待つ」こと、「信じる」こと、「対話する」こと。
もしかすると、木陰という団体の名前には、
「強い光ではなく、木漏れ日のような優しさで寄り添いたい」という願いが込められているのかもしれません。
最後に:正しさと向き合うということ
“正しいことをしている”という気持ちは、ときに人を盲目にします。
善意だからこそ、見えなくなってしまう痛みもある。
けれど、「それは違った」と気づき、傷つきながらもその場に立ち尽くすこと。
それが「大人」への第一歩なのかもしれません。
そして私たち読者もまた、
野上と同じように、自分の中の“正しさ”と静かに向き合っていく必要があるのだと──
この回を読み終えたあと、しばらく胸の奥がジンと痛んでいました。
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