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『住みにごり』第74話「散歩」ネタバレ考察|笹原の過去と末吉の異変、静かに壊れていく家族の気配

2025年6月21日

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漫画『住みにごり』第8巻の表紙。部屋で椅子にうつ伏せる末吉の姿が描かれている。
『住みにごり』8巻

ほんの少しの散歩のはずだった――
けれど、戻ってきたときには、何かが決定的に変わっていた。

『住みにごり』第74話「散歩」は、静けさの中に不穏な波紋が広がっていくような回です。
過去の事件、母の異変、そして弟・末吉の“無自覚な異常さ”。
一つひとつの会話や行動が、見えない境界線をじわじわと越えていきます。

誰かが壊れそうな気配。
誰かがもう壊れているかもしれない予感。
それでも、家族はその中で立ち止まらず、歩き続ける。

今回の記事では、そんな第74話の真相と余韻を丁寧に解きほぐしていきます。

物語の本題に入る前に、前回の流れをふり返る
『住みにごり』第73話「責任」ネタバレ考察|夏海の怒りと笠原の過去、それぞれの“赦されなさ”が交差する

※今回の第8巻では、より深く考察や感想を伝えたいと思い、各話ごとにネタバレ記事を分けて投稿するスタイルにしています。
最後には「8巻まとめ記事」も公開予定ですので、通し読みしたい方はそちらもぜひ。

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『住みにごり』第74話「散歩」ネタバレ考察

笹原文吾の過去――“誤射”で片付けられた事件の真実とは?

21年前、当時警官だった笹原文吾が関わった“ある事件”。

それは、引きこもりの息子が母親を人質に立てこもった末、突入した笹原が、犯人である息子ではなく、母親を撃ち殺してしまったという衝撃の内容でした。

記録上は「誤射」として処理されましたが、いまだにこんな噂が囁かれています。

「あれは誤射やのうて、わざと母親を狙ったんとちゃうか…」

郷田の顔の怪我も、そのときのことを「たんたんと、いつもの笑顔やった」と語る。

抑揚のない語り口は、まるで“感情の不在”そのもので、聞いている方が背筋を凍らせます。

母・百子の認知症 疑惑

一方、末吉はのどかな公園で、柴犬を連れて散歩していました。

そんな中、偶然にも姉の長月に遭遇する末吉。

長月は犬を連れた末吉に驚きつつも、話題は母・百子の話に。

「認知症が始まってるんじゃ…お母さん」

先日の電話での“おかしな応答”を思い出し、認知症の気配を心配する姉弟。

その心配は、「家族の形が変わっていく」ことへの戸惑いそのものでもあります。

柴犬ハナの正体と、長月の衝撃

しかし、今回の“事件”は散歩の終盤に待っていました。

末吉が連れ歩いていた柴犬・ハナ。
その犬は、実は隣家・佐原さんの飼い犬だったのです。

佐原さんが必死で探していたハナを、末吉はまるで“自分の犬”のように扱っていた。
長月はその事実を知った瞬間、言葉を失います。

「あんた…ついに壊れてしもたんちゃうか…?」

一方の末吉は、悪びれる様子もまったくなく、「たまたま出会っただけ」と平然と語る――
その表情の異質さが、読者にじわりと不気味さを刻みつけます。

考察|「散歩」という言葉が意味するもの

同じ時間に、同じ町を歩いていたはずなのに――
見ていた風景も、抱えていた思いも、まるで噛み合っていない。

この回の「散歩」は、末吉と長月、それぞれの視点から描かれることで、
“心の距離”と“違和感のずれ”が際立ちます。

長月が感じた末吉の異様さ。
末吉が見せる、無自覚な平然さ。
ふたりが交わした言葉と、その行間に浮かぶ“ずれ”が、
静かに、でも確実に「壊れかけた関係」を映し出していきます。

散歩という穏やかな時間だからこそ、
ふだん見過ごしていた“ほころび”が、はっきりと見えてしまったのです。


おわりに|静けさの中にひそむ、崩壊の足音

「散歩」という言葉が、これほどまでに不穏に響く回はそうありません。
第74話は、あえてその日常的な言葉をタイトルにすることで、
読者に「違和感に気づく準備」を促していたのかもしれません。

歩くことでしか見えないこと。
歩くからこそ気づいてしまうこと。

それらすべてが、この一語に凝縮されていたのです。

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