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『住みにごり』第77話「手帳」ネタバレ考察|日常の中で見えた“奇跡”と、妹・ひなぎとの異様な関係性

2025年6月25日

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漫画『住みにごり』第8巻の表紙。部屋で椅子にうつ伏せる末吉の姿が描かれている。
『住みにごり』8巻

きっかけは、コンビニの床に落ちていた“それ”でした。
思わず笑ってしまいそうな出来事なのに、気づけば心に残っていた――
そんな静かな「奇跡」が、今夜描かれます。

『住みにごり』第77話「手帳」は、前回の衝撃的な“跳び蹴り”の直後、
少し呼吸を整えるような日常回……のように見えて、
実はもっと深いところで、「人との距離」や「変わっていく関係」にそっと触れてくるエピソードでした。

特に印象的だったのは、妹・ひなぎとのやりとり。
あまりに自然体で、あまりに”異様”な妹のその姿に、
兄・達郎は戸惑いと“違和感”を感じます。

境界線の向こうから手を差し伸べてくるような、
どこか危うくて、でも目をそらせないひなぎの言葉に、
あなたはどう向き合いますか?

物語の本題に入る前に、前回の流れをふり返る
『住みにごり』第76話「反転」ネタバレ考察|末吉の理性がついに崩壊。“跳び蹴り”の衝動は救いか絶望か

※今回の第8巻では、より深く考察や感想を伝えたいと思い、各話ごとにネタバレ記事を分けて投稿するスタイルにしています。
最後には「8巻まとめ記事」も公開予定ですので、通し読みしたい方はそちらもぜひ。

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『住みにごり』第77話「手帳」ネタバレ考察

コンビニでの出来事は、奇跡なのか、ただの事件なのか?

ある日、新沼達郎が働くコンビニの床に、見慣れないものが落ちていました。
よく見てみると、それはなんと「うんち」。

監視カメラを巻き戻して確認すると、それはサラリーマンのズボンの裾からこぼれ落ちたものでした。
そして、その直後を歩いていた女性が、それをまるでマリオカートのアイテムを避けるかのようにスッとすり抜けたのです。

主人公はこの光景を「奇跡」と呼び、誰にも話さず自分の手帳にだけ静かに記録します。


「手帳」は、彼が自分を保つための道具だった

達郎は毎日、「今までやってないこと」や「長い間やってないこと」を手帳に書き残しています。

たとえば、

  • 起きたらカーテンの隙間から外を覗くこと
  • 午前中に布団から出ること
  • 近所の人に挨拶をする

手帳は、彼にとって“生きるための小さな目標”を記録する場所。
誰かに見せるためじゃなく、自分だけの「前に進むためのメモ」でした。


妹・ひなぎとの何気ない会話から始まる”違和感”の正体

この回の後半で登場するのが、妹の新沼ひなぎです。
ふたりで食卓を囲み、他愛もない会話が続きます。

「仲良うなったんやね」
「いつ来るん?」

そして、ひなぎは達郎にいつものように、
「お風呂入ろ?」

彼女はごく自然に話しかけてくるけれど、兄のほうはどこか戸惑っている様子。
そして、兄が意を決してこう言います。

「もう……一緒に入るのはやめよう」

「異様さ」と「歪んだ愛情」

ここからがこの回の本題とも言えます。
兄の言葉に対して、妹・ひなぎは真顔でにこう言うのです。

「お兄ちゃん、私のこと嫌いになったん?」

そして、ためらう様子もなく服を脱ぎ、裸でリビングに立ち――
兄の目をまっすぐに見つめながら、手を差し出します。

「私は、お兄ちゃんのこと、好きやで」
「おいで」

このやりとりには、読む側も一瞬言葉を失ってしまいます。
年齢や関係性を考えると、やっぱりどこか“変”なんです。


考察|ひなぎの兄への依存

彼女には悪意がありません。
でも、だからこそ怖い。

相手との距離感や常識的なラインをあまり意識せず、
「家族だから」「昔からこうだったから」と自然に振る舞う姿に、兄は強く戸惑っています。

一緒に育ってきた妹に対して、「もう以前と同じではいられない」と感じ始めている兄。
でも、妹の方はまだそれに気づいていない。
このズレが、読んでいてとてもリアルに映ります。


感想|この話が描いたのは、“兄妹”や“家族”の揺らぎ

第77話「手帳」は、一見するとくだらないエピソードから始まりますが、
本当に描いているのは、人と人の距離が少しずつ変わっていく瞬間でした。

家族という関係、過去の思い出、そして大人になること――
その境界線の上で、兄はひとつの決断をしようとしています。

妹は変わらずにいてくれるけれど、それが余計に切ない。
そして、読者はその空気を肌で感じてしまうのです。

あの日まで普通だったことが、ふとした拍子に普通ではなくなる。
それでも、まっすぐ差し出されたその手を、あなたは握れるでしょうか?

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