【全3巻まとめ】たつき諒選集（怪奇・幻想・初恋）ネタバレ考察｜“予知夢作家”の『短編集』に描かれた3つの世界

“未来を夢で視る”という特異な感性を持つ作家、たつき諒。
その名を世に知らしめた『私が見た未来』の衝撃から一転──
選集シリーズ（全3巻）では、彼女の内面にひそむ「もっと静かで、もっと深い世界」が綴られています。

『怪奇』『幻想』『初恋』──
3つのタイトルに込められたのは、恐怖・異世界・恋という一見バラバラなテーマ。
けれど読み進めるうちに、共通して漂う“ある感覚”に気づくはずです。

それは、「これは夢なのか、現実なのか」という、曖昧な輪郭。
そして読み終えたあと、ふと現実の空気さえも、ほんの少し違って感じられるような余韻。

この記事では、そんな選集全3巻をネタバレありで丁寧に考察し、
それぞれの巻が描く“たつき諒だけの世界”に寄り添っていきます。

記事でわかること

• たつき諒選集（全3巻）の収録作品と簡単なあらすじ
• 各巻（怪奇・幻想・初恋）に共通する世界観と感性
• 「予知夢作家」としての視点が短編にどう反映されているか
• 怖い？切ない？感動？3冊それぞれの読後感の違い
• 初心者におすすめの読み順と、感受性に合う巻の選び方
• Kindle Unlimitedなど、お得に読む方法（配信状況も含めて）

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たつき諒選集とは？｜“予知夢作家”のもうひとつの顔

たつき諒といえば、やはり『私が見た未来』の「予知夢漫画家」として知られています。とくに「2025年7月5日に大災害が起こる」という予言はネットでも大きな話題となり、その名を再び広く知らしめました。

一方で、今回取り上げる『たつき諒選集』（怪奇・幻想・初恋の全3巻）は、そうした予知的要素から一歩離れた場所にあります。
これらの短編集は、彼女の内面にある“夢の感覚”そのものを、物語という形で丁寧に紡いだ作品群。ホラーでもSFでもファンタジーでもありながら、どれにも属さない不思議な読後感が漂います。

なかでも第1巻『怪奇』は、“予知夢漫画家”たつき諒の原点ともいえる作品集であり、夢の中で感じた違和感や恐怖のようなものが、そのまま紙の上に浮かび上がってきます[1]。

たつき諒という作家を、「予言」や「災害」に回収せず、“夢を描く作家”として見つめなおす。それが、この選集を読むことの大きな意味だと感じます。

選集1『怪奇』のネタバレと考察

『たつき諒選集1 怪奇』は、タイトル通り「奇妙で不気味な話」が詰まったホラー短編集です。
けれど、それは血しぶきが飛ぶような恐怖ではなく、夢の中で何かおかしいと気づいたときの“違和感”のような怖さが主軸になっています。

代表作として語られることが多いのが『忘れられた部屋』という短編。
誰もいないはずの古い家に踏み込んだ主人公が、記憶の底に埋もれていた部屋と再会する──という物語です。
どこかで「これは夢か現実か？」と問いかけられているような、静かなゾッとする感覚があります。

他にも、日常と地続きの世界で起こる不可解な出来事が並びます。
それらは作家自身の夢日記から着想を得たものもあり、読後には“妙にリアルな感覚”が残るのです。

『怪奇』は、“たつき諒の原点”としてふさわしい一冊です。
恐怖というより、「夢に引きずられるような」余韻を味わいたい人に、まず手に取ってほしい巻です。

選集2『幻想』のネタバレと考察

『幻想』は、たつき諒選集の中でも最も“夢”という言葉がふさわしい一冊です。
ホラーのようでいてホラーではなく、現実のようでいて現実ではない。
読者はいつの間にか、目を開けたまま夢を見ているような感覚に包まれます。

この巻に収録されている短編は、幻想世界を旅するような感覚が特徴。
なかには「鏡の中にもう一人の自分がいた」や「夢の中で出会った人が現実にも現れる」といった、
一度は誰しも感じたことのある“不思議な記憶”をくすぐる作品が並びます。

物語の多くは結末が曖昧で、明確な解決もありません。
それなのにどこか納得してしまうのは、たつき諒が描く「感覚のリアルさ」に理由があります。
“こういう夢、わたしも見たことがある”と、ふとページの中に自分を見つけてしまうのです。

『幻想』は、意味やロジックではなく、直感と余韻を楽しむ人にこそおすすめです。

選集3『初恋』のネタバレと考察

『初恋』は、たつき諒選集の中でも異色の存在です。
『怪奇』『幻想』が「怖い夢」や「不思議な夢」を描いていたのに対し、
『初恋』は、もっとも“現実に近い夢”を描いているように感じられます。

短編に共通するのは、“想い”の強さ。
ある作品では、過去に好きだった相手が夢に現れ、
夢の中でだけ再会を果たす。

別の作品では、叶わなかった恋が幻想となって、
現実の感情に揺さぶりを与えてくる。

決して甘くはないけれど、どこか切なく、
そして読後に温かさがじんわりと残る──
そんな恋のかたちが、たつき諒らしい感性で描かれています。

『初恋』は、たつき諒が“恋愛”をどう見つめていたのかを知るうえで、
とても貴重な一冊。
夢・記憶・感情、そのすべてがやさしく重なり合う読書体験になるでしょう。

たつき諒選集はどんな人におすすめ？

たつき諒選集は、単なるホラー漫画でも、恋愛漫画でもありません。
けれど、不思議なことに──読む人の心に“何か”を残していきます。

もしあなたが、

• 「夢の意味」を考えたことがある人
• 不可解な体験を忘れられずにいる人
• 明確な答えではなく、“余韻”を味わいたい人
  であれば、この選集はきっと、静かに寄り添ってくれるはずです。

とくに『私が見た未来』でたつき諒を知った人には、
この選集3冊を読むことで、彼女の描く“夢の奥行き”を深く味わうことができます。
単なる予言者ではなく、「夢と現実の狭間を描く作家」としてのたつき諒に出会えるのです。

静けさの中にある怖さ、切なさ、懐かしさ。
それらを言葉にできないまま抱えてきた人にこそ、読んでほしい作品集です。

全3巻の違いと読み順おすすめ

たつき諒選集（怪奇・幻想・初恋）は、それぞれの巻でテーマと読後感が大きく異なります。
けれど3冊を通して読むことで、“夢”という共通軸の奥深さが見えてきます。

• 『怪奇』：怖さよりも「説明できない違和感」。たつき諒の原点に触れたい方に最適。
• 『幻想』：不思議で曖昧な世界に沈みたいとき。現実との境界が曖昧になっていく感覚。
• 『初恋』：もっとも感情に寄り添う巻。切なさや優しさが静かに心に残る一冊。

まず読むなら？

個人的には『初恋』を最初に読むのがおすすめです。
理由は、感情への導入がやさしく、たつき諒の世界に入りやすいから。

そのあとに『怪奇』で不気味な感覚を味わい、最後に『幻想』で現実から浮遊するような読書体験を締めくくると、
3冊の流れが“夢の深層に沈んでいく”ような感覚になります。

全体として、感覚のグラデーションを楽しめるのがこの選集の醍醐味です。

たつき諒選集を読むには？（Kindle Unlimited対応）

現在、『たつき諒選集』（怪奇・幻想・初恋の全3巻）は電子書籍として販売中で、Amazon Kindleでも配信されています。
とくに嬉しいのは、『たつき諒選集1 怪奇』のみKindle Unlimited対象作品であること（2025年7月時点）。

まだKindle Unlimitedを試したことがない方は、30日間の無料体験を活用して読むのが断然お得。
物理書籍で揃えるのももちろん良いですが、たつき諒さんの作風は“寝る前の静かな時間に少しずつ読む”というスタイルにも合っているため、スマホやタブレットでの読書とも相性抜群です。

なお、読み放題対象は予告なく終了する場合があるため、気になる方は早めのチェックをおすすめします。

結び｜夢の向こうに触れる読書体験

たつき諒選集（怪奇・幻想・初恋）は、それぞれが独立した短編集でありながら、
すべてに共通して漂うのは「夢と現実のあいだにある曖昧さ」でした。

読んでいる最中は、ふと自分の記憶が揺さぶられるような感覚が訪れます。
あのとき見た夢。忘れていた感情。置き去りにした想い。
それらが物語の中で息を吹き返し、読者一人ひとりの内側に静かに問いかけてくるのです。

たつき諒という作家の魅力は、
「予知」や「不思議な力」ではなく、
“言葉にならない領域”を丁寧にすくい上げるまなざしにあります。

選集3巻を通して触れた世界は、派手な展開ではなく、
けれど確かに、あなたの心に“何か”を残していくはずです。

静かで、深くて、どこか懐かしい。
そんな読書体験を、どうかゆっくり味わってみてください。

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